ちぃっとらっつ農舎 & ポラーノ農園

ちぃっとらっつの
    農と暮らし

    

ちぃっとらっつ農舎

「ちぃっとらっつ」とは当地の方言で「少しずつ」という意味です。
私たちの暮らす農村の風景や伝統、文化はちぃっとらっつの繰り返しから生まれ、ちぃっとらっつ継承されてきました。大切なものは大量生産、大量消費には向かないのでしょう。
ちぃっとらっつ季節にあった作物をつくることで地域の多様性が守られます。
ちぃっとらっつ大切に使いながら暮らしていくことで、環境が守られます。
ちぃっとらっつ周りに広めることで、人が変わり、いつかは社会が変わるのでしょう。
ここで作られている農作物や加工品は特別なものではありません。
山間の畑には大小様々な生き物が行き交い、農薬・化学肥料に頼らなくても豊かな生態系が田畑を守ってくれます。上流域の田んぼには綺麗な水が川から直接流れ込み、田の排水路からは毎年蛍が舞い立つ。収穫後の稲わらや麦わら、大豆殻は畑に戻し、土を肥やす。畑の草取りで採った草は鶏の餌となり、その糞は畑に戻す。自然の循環の中に身を置き、農で暮らす。昔はどの家でもこんな風に農があり、食があり、暮らしがありました。
日本の四季、百姓仕事、地域環境、伝統の手仕事が共に織り成し醸し出す、そんなごく普通のモノたちです。ちぃっとらっつ農舎は小さな農家です。
小さい規模で様々な作物をちぃっとらっつ作り、その地域の豊かさを手仕事を通して表現していきたいと願っています。
ちぃっとらっつ農舎では、農薬・化学肥料を一切使わないだけでなく、地域で循環する農と食、暮らし方を大切にしています。お茶摘み、田植え、稲刈り、味噌づくりと、季節に合わせた交流会やワークショップなども一年を通して開催していますので、ぜひ農舎に遊びにおいで下さい。

ちぃっとらっつ農舎
杵塚歩 Kinezuka Ayumi

ともに働き
    ともに歌へば

    

ポラーノ農園

いつだったか、農作業を手伝いに来てくれた友達がこんなことを言ってくれました。
「ここに来てきれいな空気を吸って土にまみれて汗を流したら、ぐっすり眠って明日もまた仕事がんばろうって思える。」
その言葉を聞いて、宮沢賢治の「ポラーノの広場」みたいだなと思いました。


そこへ夜行って歌へば、またそこで風を吸えばもう元気がついてあしたの仕事中からだいっぱい勢がよくて面白いやうなさういうポラーノの広場を僕らみんなでこさえやう。

宮沢賢治著「ポラーノの広場」より


農園の名前(屋号)を考えていたとき、そんなことをぼんやり思い出しました。僕がこれから始める農園も、そんな農園でありたいと思いました。たくさんの人たちに田んぼや畑に来てもらって、ともに働きともに歌へばからだいっぱい勢がよくって面白い、そんな農園にしたいと思いました。
そこで新しく始める農園に「ポラーノ農園」と名付けました。


まさしきねがいに いさかふとも
銀河のかなたに ともにわらひ
なべてのなやみを たきぎともしつつ
はえある世界を ともにつくらん

「ポラーノの広場のうた」


ポラーノ(polano)とは、ポーランド語で「たきぎ」という意味です。

ポラーノ農園
鷲野浩之 Washino Hiroyuki

多様性から生まれる豊かさ

私たちの畑には様々な草や虫や微生物、野ネズミや野うさぎなどの小動物や小鳥、イノシシやシカなども行き交います。多様性の豊かな畑では農薬や化学肥料に頼らずとも植物は強く根を張り、病害虫にも負けません。

地域の豊かさを守り伝える

この地域特有の気候風土のなか、長い年月をかけて紡がれた地域に根付く農業、食、暮らしを大切に、畑での生産から加工までを手がけることで、守り伝えていきます。その先に地域の見えるものづくりを目指します。

人と人、人と自然をつなぐ架け橋に

自然に寄り添い、その循環の中に自らを見出す。そんなことが、今求められていると感じます。全ての人々が食べることを通して他の命をいただき、自らの命を繋ぎます。食を通して大地や他の命とつながりを意識できるような、ものづくり、場づくりをしていきます。

手仕事を通して描く未来

子どものその子どもも、そのまた子どもも健やかに暮らしていけるような社会を作ることが有機農業だと思います。子どもたちに食べさせたいものを作っていると、それは地域に昔からある農法であり、伝統的な加工技術であり、多様性の宝庫でした。

循環する農業を目指して

私たちが目指す農業は、ただ農薬や化学肥料を使わないというだけの農業ではありません。自然の循環の中に人が身を置き、自然との調和の中で生命が持つ力を最大限に引き出す農業です。鶏や合鴨などの家畜の糞は稲や麦を育てる有機肥料となり、稲わらや麦わらは茶畑の有機肥料となり、小米や米ぬか・茶畑の雑草や茶がらは家畜の餌となって循環します。この循環は、家畜を飼うことで生まれます。日本の農業はかつて、「有畜複合農業」つまり、「家畜を飼い、さまざまな作物を複合的に生産する農業」でした。その中では、資源は自然と循環していました。
私たちは、単一の作物を大規模に栽培するのではなく、小規模で多様な作物を作っていきたいと思っています。里山の豊かな自然の中で、次の世代もその次の世代も引き継いでいけるような、命が循環する農業を目指しています。